短編: カッパに見込まれた話
2024年07月01日
主人公は友人と二人で精進料理を食べに行き、そこでビールを数本飲んだそうだ。
そのうち二人は気持ちよくなり、寺の縁側でうたた寝をはじめます。
ここまで読むと、この二人はおじさん? と思うでしょうが、おばさんです。
その縁側の向こうの池が、カッパの世界と繋がっており、二人はあるカッパから「○×△さんですよね」と話しかけられます。
そのカッパに相談にのってくれと頼まれ、二人は素直に船に乗り、次にカッパにここで水に飛び込めと言われ、素直に水に飛び込みます。そして水底にあるカッパの世界へと足を踏み入れるのです。
おそらくこの小説の中の世界では、これが普通なのでしょう。ここで、そんなことがあるわけない! と怒ったところで意味はありません。二人のように受け入れましょう。
ただし私たちの現実世界で、こんなことが起きたら、疑って掛かりましょう。
それでこのカッパの相談というのが、300年間も続いている恋が最近うまくいかず、その相談でした。
○×△さんが最近失恋したらしく、その失恋がカッパの世界で話題になっており、それで相談してみようとなったみたいです。
○×△さん本人からしたら、失恋したばっかりなのにそんな相談を持ちかけられて面白くなく、「駄目なものは駄目なのよ、別れたらいいのよ」とか「ひと月もすれば元に戻ります」なんてまあ適当なことを言っています。
こういうまったりとした不思議系の小説は女性作家の得意とするところかもしれません。
あり得ない設定も、すんなりと受け入れられるのです。