短編: 若い男女の心中物語
2024年06月26日
大正時代の物語、名家出身の学生と遊女が死に場所を求めて神聖なる山を登っていく。
山頂近くに講の氏子さん達を泊める宿があり、二人はそこで最後の晩を過ごそうと思ったか、泊まることになる。
結局は二日目の晩に、二人は毒薬を飲み、男は即死、女はすぐには死なずにそこから数日間を生きた。
その女性への扱いが恐ろしい。
毒薬の影響で喉や胃が焼けて助からないとなり、江戸時代生まれの剣に覚えのある宿の主人は介錯すると言い出すが、それでは人殺しになると止められ、結局、女性はもう死んだものとして扱われる。
心中直後は亡くなった男性と虫の息の女性は隣通しに寝させられ、腕同士を赤い紐で結ばれてはいたのだが
男性の父親が遺体を引き取りにきたときに、その女性は父親から「何故おまえは生きている。早く死ね。」と言われる始末。
そして男性の遺体が引き取られたあとも女性はそのまま寝かせられ、水を欲しがっても水を与えられることもなく、数日後に息を引き取った。
当時の医療レベル、心中についての考え方、色々あるのだろうが、周りの人々がこの女性を扱う様子が理解できない。恐ろしさを感じる。